海はねてまて(果報は寝て待て、海も寝て待て)

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縞模様と数学者・・・魚の縞模様と数学の関係 2006年02月10日

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写真の魚は、ダイバーさんにも人気の魚、タテジマキンチャクダイの幼魚の写真です。親になると全く違う色と柄に変わります。この魚の縞模様について、かなり興味のある面白いお話です。


子供の時が全体に青色、次に黄色と青の中間、成魚は全体的に黄色になります。この成長段階で縞模様も変化するのですが、渦巻きから横じまになり、最後は縦じまになると言う、いつでも派手な衣装の魚です。


もしこの縞模様が体の表面にプリントしてあるのならば、生涯縞の数は変わらず、大柄なサイズの縞が出来てもおかしくないはず。しかし実際には、柄も縞も体と一緒に変化して成長している感じです。

 

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この縞模様の不思議にチャレンジした日本人の生物学者の先生が使用したのが、「反応拡散理論」という、イギリス人の数学者アランチューリング(1912−1954)の考えた理論です。理論は、「2種類の化学物質がある条件の下で互いに影響しあいながら合成される時、これらの濃い部分と薄い部分が出来て、波のような繰り返しパターンが生まれる」と言うものです。


体が丸くなって広い部分では波が割り込んでいって新たな縞を作り、尾の部分のように狭くなっている所では、波が入り込めずに消失するということみたいです。その他エイやウツボ、トカゲなどの模様をこの理論を使いシュミレートしているみたいです。


アランチューリングといえば、第二次世界大戦中ドイツのエニグマシステムを解読する為の暗号チームの指導者であり、ドイツの敗北に事実上大きい役割を果たした人です。彼の考えた理論的仕事のおかげで、「コンピューターの父」とも言われています。彼がいなかったら今の私達の生活はどうなっていたでしょうね?


今回は、ダイブクルーズなどで見られるお魚の、ちょっと変わった見方です。魚の不思議に数学の理論を用いるなんていうのはすごい発想ですね。今度タテキンさんと出会う時には、是非、縞の不思議にも注目してみて下さい。


参考資料−うにの赤ちゃんにはとげがない。美しい数学。

 

 

seaforest - HIRO

 


本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]


ticolino (2006-02-10 15:33)

キンチャクダイの赤ちゃんはホントによく似ているのに、大人になると全然違うのにはビックリ。大人も子供も一際目立つ柄で目がいきますね。ワヌケヤッコの子供を先日見ましたがやはり輪なんかない。大人のワヌケヤッコで対側面の一本が途中で途切れつながっていなかった個体も有りましたが、そのうちつながるのでしょうかね?


HIRO (2006-02-11 03:42)

ticolinoさん。コメント有り難うございます。タテキンは本当にどこにいてもすぐに目立ちますよね。しかし、この柄が実は目の錯覚になり(フリッカー効果)、カモフラージュになっているみたいです。驚きです。

 

ところで、ワヌケヤッコも確かに同じ様な感じの柄です。ワヌケヤッコについてはこの本では取り上げられていませんが、僕の予感は、同じ原理だと思われます。

そして、模様の切れていたワヌケヤッコ、僕もシミランで見ました。僕も不思議に思います。特に不便なように見えませんでしたが、実は本人かなりコンプレックスだったりするかも知れませんね。

 

またあのワヌケヤッコに出会って、その後の繋がり具合を見てみたいですね。

ところで、著者によれば、セイルフィンプレコという淡水魚の斑点模様のシュミレートには成功しているみたいです。魚の色柄はまさにアメージングですね。