海はねてまて(果報は寝て待て、海も寝て待て)

ご訪問ありがとうございます。このブログは、2006年から2016年まで、プーケットでダイブクルーズ専門ガイドの会社として活動していた「seaforest」の海ブログです。タイ各地、ミャンマー、アンダマン諸島、ラジャンパットなどのダイブクルーズの写真やビデオ、海の雑学などを掲載しております。(ブログを移転した為、本当の掲載日はタイトルの日付が正しいです)

サンゴ問題 その2・・・サンゴの保護を森から知る 2011年03月01日

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※最近のサンゴ&生物たちの写真ですが、写真と文章は全く関係ございません。

 

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「ていだかんかん」と言う映画を見ました。サンゴの養殖&移植という活動をしている金城さんと言う方の実話を題材にした作品ですが、映画としての評価はさておき色々考える題材になりました。(主演はナイナイの岡村さんと松雪泰子さんです。デトロイトメタルシティーの松雪さんにも驚かされましたが、この作品でも良い味が出ております。ちなみに監督さんは同じです)サンゴ保護のある1つの回答だと思うのですが、まだ歴史の浅いサンゴ保護の問題を、歴史のある森の問題から知るのも、1つのアプローチだと思いました。といことで、森のお話をはじめたいと思います。

 

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日本での森の区別に、原生林、自然林、人工林などと言う区別があるのですが、日本の森林面積は、国土面積3800万ヘクタールの67%にあたる、約2500万ヘクタールで、そのうちの40%にあたる1000万ヘクタールがスギやヒノキなどの人工林だそうです。森林率67%という多さには驚かされますが、森林の40%が人の手入れを必要としている人工林というのがさらに驚きです。1988年林野庁はいっさい人口の手を加えないで守ってゆく原生林と、人手を加えながら様々な目的に活用してゆく森林に分け、それぞれ適切に管理していくと言う新しい方向を打ち出しました。そこで気にかかる点は、「森林は全て原生林にする」とか、「森林に人手を加えるのは悪いこと」など、極端な意見が出る事でしょう。

 

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森林も手入れをしなければ荒んでいくのは日本の森林の現状であり、その他にも、例えば、北アルプス上高地大正池や日本の象徴富士山など多くの自然風景には多かれ少なかれ人間の手が加わっていて、地域住民の生活、生産の場と深く関わっています。皆さんお住まいの、近くの公園などもそうなのではないでしょうか?そして、わが国特有ともいわれている美しい自然風景は、農業や林業としての土地利用を通じて、その美しさを維持されてきたところがあります。「保存的自然保護」こそ自然保護であると考える人にとっては、農業や林業こそ自然破壊の元凶でしょう。しかし。本当に自然が大切であると考えるならば、「自然にはいっさい手を触れるべきではない」とか「森林を破壊する農業や林業」などと簡単に言うのではなく、その環境で暮らしている人々を通じて、自然を理解する必要があります。

 

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もしも、山仕事をする人がいなくなれば、自然保護を唱える人たちだけになってしまい、実際に自然を守るひとはいなくなり、逆に美しい自然は姿を消しえていくことでしょう。自然環境を保全していくためには、健全な農業や林業が成り立つ事が基本であり、持続可能な自然保護のためにも農業や林業は大切なのです。

 

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日本人が自然と上手に向き合う為には、日本古来からの考え方というものが重要になってきます。日本の自然は、台風、洪水、津波、火山の噴火などによって大きな被害をもたらす厳しい面もありますが、四季の穏やかな移り変わりの中の素晴らしい風景や沢山の動植物などを育むやさしさを示す自然でもあります。古代の人たちは、その様な自然との出会いの中で、神を見出したのでしょう。そして、神々との親しみ深いふれ合いを感じて、「自然崇拝」の観念を抱くようになり、それが日本人の伝統的な自然観の基礎になったといえます。

 

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その自然崇拝の思想は、日本人の心に受け継がれていき、「四季おりおりの自然を理解し、それにふさわしい振る舞いをする」と言うような形で残っていったのでしょう。自然を理解する能力があるかないかは「心あり」「心なし」ということばでも表現されていたようです。この様な考え方は、現代の多くの日本人に最優先で必要であり、政治、経済、社会的活動などにもどんどん反映させていかないと、「これからの日本が守るべきもの」「守るべきものの考え方の基礎」などのない、日本&日本人が完成してしまうでしょう。

 

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森林も木材生産や農業など目に見える価値観だけにとらわれず、「森林浴」など心に関わる目に見えない価値にも、目を向けていくべきでしょう。サンゴの生息する近海は漁業などが盛んな地域ですが、実際のサンゴを目にすることは素潜りでもしない限り不可能です。しかし、海の中の森林浴とでも言うべきダイビングでは、サンゴの状況などは一目瞭然に分かります。


お初のウミウシ。デルマトブランクス ゴナトフォラ

 

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お初のテンジクダイ。Moluccan Cardinalfish

 

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オニダルマオコゼ

 

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クラゲの中に~。。。

 

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山で言えば登山、海で言えばダイビングですが、両者は自然と人間が交わる場所での行為であり、自然と人間の共生をもっとも身近に感じる場所です。山で言えば人工林や二次林などの場所に当たり、人間の手入れを必要としている場所になります。それを考えると、サンゴの生息する近海もこの場所に相当すると思われ、人間の何らかの関与が必要なのかもしれません。


しかし、この関与の仕方は、「心あり」を持って行うべき問題だと思います。

 

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参考文献 - 「人間にとって森林とは何か」

 


seaforest - HIRO

 


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oxicsMoxVon (2011-09-09 16:01)
たくさんのことを学んだ